番組名 中国ドラマ「射G(しゃちょう)英雄伝<新版>」
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武侠ドラマ最大のヒット作がキャスト・スタッフを一新してよみがえる!
「琅邪榜」フー・ゴー&「蘭陵王」「イタズラなKiss」アリエル・リン主演、過酷な運命を背負った若者たちの恋と戦いを描いた名作時代劇。


★中国文学界の巨人・金庸(きんよう)原作!
★日本でも多数の熱狂的ファンを生んだ武侠ドラマ最大のヒット作をリメイク、前作から10年…待望の新シリーズが日本上陸!
★ 「琅邪榜」フー・ゴー& 「蘭陵王」「イタズラなKiss」アリエル・リン主演!アンソニー・ウォン、リウ・シーシーほか豪華共演陣と「宮廷女官 若曦」などを手掛けたスタッフが贈る華流ドラマ!

全50話  (中国厦門影視 2008年)  

 
放送日時
番組内容
#1
時は南宋の中期、冬。討ち取ったばかりの奸賊・王道乾(おう・どうけん)の首級を携えた全真教の道士・丘処機(きゅう・しょき)は、都にほど近い牛家村へとさしかかった。彼は声をかけてきたふたりの男と争いになるが、やがて誤解は解けて意気投合。男たちは報国の志に燃える義兄弟で、郭嘯天(かく・しょうてん)と楊鉄心(よう・てっしん)と名乗った。だが、この3人の義士たちの出会いが惨劇の呼び水となってしまう。丘処機が村を去って間も無く、兵を従えた武官・段天徳(だん・てんとく)が現れた。謀反を企んだ逆賊との汚名を着せられた郭嘯天と楊鉄心は命を奪われ、身重であった郭嘯天の妻・李萍(り・へい)は連れ去られてしまう…。
#2
弓の名手・ジェベの弟子だけあって、郭靖(かく・せい)の弓の腕前は大ハーンをも驚かせるほどのものだったが、武芸の方はさっぱり。10年来の師匠である柯鎮悪(か・ちんあく)たちも、蒙古の土地へやって来てから費やした年月を考えると落胆せざるを得ない。その間に彼らは、かけがえのない仲間である張阿生(ちょう・あせい)を失ってもいたのだ。そんなある夜、郭靖の前に白い長袍に身を包んだ青年が。「形見の匕首を見せろ」と迫るその人物は、丘処機(きゅう・しょき)の弟子・尹志平(いん・しへい)。彼は、丘処機の使者として書簡を届けにきたのだという。江南七怪と丘処機が約束した18年越しの勝負の時は迫りつつあった…。
#3
武芸の覚えがすこぶる悪い郭靖(かく・せい)に、ようやく上達の兆しが。やっと苦労が報われたかと喜ぶ江南六怪だったが、思わぬ影が差す。彼らの知らぬ間に、郭靖が並々ならぬ内功を身につけていたのだ。師匠たちに脅しつけられて、要領の得ない説明をする郭靖。内功を教えてくれる相手の名前は知らず、顔かたちも他言しない約束なのだという。達人が何年もかけて"うつけ坊"の郭靖に奥義を授ける理由は何か――不穏なものを感じた江南六怪は"謎の師匠"の正体を探るべく、郭靖の後をつけることに。郭靖に遅れをとりながらも、崖の上へと辿り着いた朱聡(しゅ・そう)と全金発(ぜん・きんはつ)は、邪悪な絶技・九陰白骨爪の痕跡を目にし…。
#4
郭靖(かく・せい)は師匠たちの荷物を、汚い身なりの少年に盗まれてしまう。追いかけはしたものの、この少年も盗みを働くほど困っているのだと思うと同情する気持ちが湧いてくる。郭靖は少年に誘われるまま一緒に飯屋へ行くことに。連れてこられたのは街で一番の高級店。意外なことに少年は食通らしく、郭靖が聞いたこともない料理を次々と注文していく。そして、天涯孤独だという身の上話を聞いた郭靖は、母が編んでくれた襟巻と大ハーンがくれた路銀をそっくりそのまま少年に渡してしまうのだった。その行いを江南六怪に褒められた郭靖。師匠たちのお世話をしようと水を汲みに出た彼は、街角に父の仇・段天徳(だん・てんとく)の姿を見る。
#5
「私は本当に父上の子ですか?」――完顔康(わんやん・こう)の問いかけに母・包惜弱(ほう・せきじゃく)は口を濁し、はっきりとした答えを聞くことはできなかった。気晴らしに街へと出た完顔康は、人だかりのできた一角に目を向ける。掲げられたのぼり旗には"比武招親"の文字。聞けば、穆易(ぼく・えき)という旅の者が、ここ燕京で娘・念慈(ねんじ)の婿を捜しているのだという。条件は武芸に秀でていることで、穆念慈に勝る腕前の若者に彼女を嫁がせるのだそうだ。穆念慈の繰り出す楊家槍法の見事さに興を覚えた完顔康は、彼女に挑むことに。完顔康は易々と穆念慈を下すが、「暇つぶしに遊んだだけだ」と彼女を妻にすることを拒み…。
#6
穆念慈(ぼく・ねんじ)を趙王府へと招待する手紙が届いた。差出人は完顔康(わんやん・こう)。穆念慈は迎えに来た輿には乗らず、歩いて趙王府へと向かうのだった。同じ頃、郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)も趙王府に忍び込んでいた。完顔康と霊智上人(れいちしょうにん)が買い占めた薬をこっそりと奪い、王処一(おう・しょいつ)の治療をしようという魂胆である。霊智上人の部屋を目指す2人だったが、手下を引き連れた欧陽克(おうよう・こく)に見つかってしまう。黄蓉は薬を探すよう郭靖に言いつけると、欧陽克を相手に風変わりな勝負をもちかけた。彼女が繰り出す技を手掛かりに、100手のうちにその正体を当てろというのだが…。
#7
完顔洪烈(わんやん・こうれつ)を前に、趙王府を賑わせた侵入者の正体について冷静に分析してみせる欧陽克(おうよう・こく)。彼は、穆易(ぼく・えき)と名乗った男が、実は楊鉄心(よう・てっしん)ではないかとほのめかすのだった。そんななか、郭靖(かく・せい)たちは街で、金の皇族の行列に出くわす。それが王妃のお寺参りの一行だと知った楊鉄心は、昨夜自分をかくまってくれたお礼をしたいと言い出した。黄蓉(こう・よう)が引き起こした騒動に、完顔康(わんやん・こう)や警備の兵が気を取られている間に楊鉄心は境内の中へ。運良く王妃を見つけだした彼は「牛家村の包惜弱(ほう・せきじゃく)をご存じですか?」と問いかけ…。
#8
楊鉄心(よう・てっしん)と対峙した完顔洪烈(わんやん・こうれつ)は、「わが王妃の名は包惜弱(ほう・せきじゃく)だ」と言い放つ。18年前、身に覚えのない謀反の濡れ衣を着せられた郭嘯天(かく・しょうてん)が死に追いやられたことも、妻と生き別れになったことも、すべては包惜弱に横恋慕した完顔洪烈の差し金だった――真相を知った楊鉄心の心の内では、怒りとも悲しみともつかない激しい感情が渦を巻いていた。同じ頃、穆念慈(ぼく・ねんじ)は王処一(おう・しょいつ)のために薬を手に入れようと、単身、趙王府に忍び込んでいた。趙王府の庭に建つ、粗末な家に目を留める穆念慈。その中には、閉じ込められた包惜弱の姿が…。
#9
目の前には梅超風(ばい・ちょうふう)に動きを封じられた郭靖(かく・せい)、背後には欧陽克(おうよう・こく)と4人の侠客たち――絶体絶命の窮地に陥った黄蓉(こう・よう)だったが、彼女の投げかけた言葉が、復讐鬼と化した梅超風の手を止めさせた。黄蓉こそ、梅超風とその夫・陳玄風(ちん・げんぷう)が裏切ってしまった師・黄薬師(こう・やくし)の娘で、2人を救った命の恩人でもあったのだ。九死に一生を得た郭靖と黄蓉は楊康(よう・こう)のもとへ。2人は楊康が完顔康(わんやん・こう)として育つに至った事情を説明しようとする。そこに現れた包惜弱(ほう・せきじゃく)は「あなたに黙っていたことがあります」と切り出し…。
#10
楊鉄心(よう・てっしん)と包惜弱(ほう・せきじゃく)、そして楊康(よう・こう)――家族がようやく顔を揃えたというのに、3人の間にはぎくしゃくとした空気が流れ、それぞれの苦悩は深まっていく。彼らが過ごした18年という歳月が、容易に乗り越えがたい溝を刻んでいたのだ。郭靖(かく・せい)は楊康の力になりたいと相談に乗ろうとするが、邪魔者扱いされてしまう。黄蓉(こう・よう)も、親子3人で直接話し合う場を設けようと小細工を弄するが、楊鉄心と楊康は家を飛び出してしまうのだった。包惜弱の苦しい胸の内を聞いてやる黄蓉。一方の郭靖も、楊康の心を開かせようとひたむきに語りかける。しかし、激昂した楊康は…。
#11
郭靖(かく・せい)は、酒楼に入り浸る楊康(よう・こう)をたしなめる。しかし、楊康はまともに聞こうともせずに辛辣な言葉を郭靖にぶつけ、我が身の不幸を呪うばかりだった。騒々しい彼らに客たちが眉をひそめるなか、2人の様子をじっとうかがっている男がいた。「完顔康(わんやん・こう)殿かな?」と尋ねてきたその男は、両手の杖で体を支えてはいるが身のこなしも軽く、楊康に一撃を喰らわせる。郭靖は自分の身を盾に楊康をかばい、やっとのことで男に見逃してもらうのだった。「礼は言わないぞ」と冷たい口ぶりは相変わらずだが、杖の男に痛めつけられた郭靖に肩を貸す楊康。仮の住まいに戻った2人を待ち構えていたのは…。
#12
楊康(よう・こう)に楊家槍法を授ける楊鉄心(よう・てっしん)。2人が親子として心を通わせ始めた一方で、楊鉄心と包惜弱(ほう・せきじゃく)もまた本心をぶつけ合い、互いに抱いていたわだかまりを解いていく。その夜、郭靖(かく・せい)は郭嘯天(かく・しょうてん)の得物だったという戟を楊鉄心から譲り受け、亡き父の技を伝授される。それは、父を恋しく思う郭靖のために、楊鉄心がついた優しい嘘だったが、何も知らない郭靖は素直に喜び、夜通し技の修練に精を出すのだった。そんななか完顔洪烈(わんやん・こうれつ)は、包惜弱と楊康の身柄を奪い返すべく大軍を率いて宋へ。金軍の侵攻にいち早く気付いた黄蓉(こう・よう)は…。
#13
両親の仇を討とうと完顔洪烈(わんやん・こうれつ)を追撃した楊康(よう・こう)だったが、欧陽克(おうよう・こく)の毒掌を受け、深手を負ってしまう。死をも覚悟した楊康は、ついに穆念慈(ぼく・ねんじ)への偽らざる心を伝えるのだった。同じ頃、郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)は、梁子翁(りょう・しおう)と霊智(れいち)上人を相手に苦戦を強いられていた。そこへ思いがけない援軍が。白ワシが現れ、梁子翁たちに襲いかかったのだ。その場を逃れた郭靖と黄蓉が駆けつけてみると、楊康は歩くこともままならないのに、なおも完顔洪烈を追おうとしている。郭靖は黄蓉に後を託すと、白ワシの力を借りて完顔洪烈を追い詰め…。
#14
2人で酒を酌み交わす郭靖(かく・せい)と楊康(よう・こう)。その日、楊康は遂に郭靖を「兄さん」と呼んだ。ようやく心を通わせ合った"兄弟"は、初めて屈託のない笑顔を交わすのだった。明くる日、父の仇・段天徳(だん・てんとく)を追う郭靖は、黄蓉(こう・よう)を伴い中原へ。楊康は穆念慈(ぼく・ねんじ)と共に、両親を弔うべく牛家村へ。半年後、煙雨楼での再会を約束して、彼らは旅立った。その道中、郭靖と黄蓉は梁子翁(りょう・しおう)の襲撃を受ける。梁子翁は、長年育てた大蛇を殺された恨みを晴らすべく、郭靖を付け狙っていたのだ。郭靖の血を吸おうとする梁子翁を振り切った2人は、川へと逃れるが…。
#15
「料理を賭けて私たちと遊びませんか?」――黄蓉(こう・よう)は樹上の老人に向かって声をかけた。枝に寝そべり瓢箪をぶら下げたこの人物こそ、"北丐"こと洪七公(こう・しちこう)である。料理の名前を当てられたら食べることができるという賭けに、美味しいものに目が無い洪七公が乗らないはずがなかった。だが、黄蓉が作った料理はいちいち凝った風流な名前で、洪七公にはまるで見当もつかない。勝負には負け続けるものの、あれこれと屁理屈をこねて料理にありつく洪七公。全て平らげると、彼はお礼に武芸を教えてやろうと申し出た。郭靖(かく・せい)に洪七公の奥義を受け継がせようと目論んで賭けを持ちかけた黄蓉だったが…。
#16
梁子翁(りょう・しおう)からの報告に、欧陽克(おうよう・こく)は顔色を変えた。郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)、そして洪七公(こう・しちこう)が近くに滞在しているのだという。江湖の一大勢力である丐幇に、楊康(よう・こう)と穆念慈(ぼく・ねんじ)の捜索を妨害されるようなことになっては面倒だ。欧陽克は趙王の護衛を梁子翁たちに委ねてこの地に留まり、事態の収拾に乗り出すことを決めるのだった。一方、洪七公の弟子となった郭靖は武芸の稽古に精を出すが、なかなか成果を上げられずにいた。今日も洪七公に料理を振る舞おうと、街へ買い物に出かけた黄蓉。そんな彼女の姿を監視し、先回りする者たちが…。
#17
地下牢に捕らわれていた穆念慈(ぼく・ねんじ)を力ずくで救い出した楊康(よう・こう)。趙王府の門を出た2人の前に、完顔洪煕(わんやん・こうき)と弓を構えた兵たちが立ちはだかる。彼は自分を狙った暗殺者が楊康だと信じ、報復にやって来たのだ。危機に瀕した楊康たちに思いがけない助太刀が――完顔洪烈(わんやん・こうれつ)である。九死に一生を得た楊康は完顔洪煕の馬を奪い、危地を脱するのだった。しばらくの後、楊康と穆念慈、完顔洪烈の姿は牛家村にあった。楊鉄心(よう・てっしん)と包惜弱(ほう・せきじゃく)の墓前にひざまずいて詫びた完顔洪烈は楊康に告げる。「康よ、私を殺せ。両親の墓に首を供えよ」と…。
#18
「恥知らずにも程があるわ」――穆念慈(ぼく・ねんじ)は楊康(よう・こう)をなじった。その日の昼、街中で武芸を披露していた2人は集まった役人に取り囲まれてしまった。楊康はその窮地を切り抜ける手段として、金国の王族である玉の令牌を示す。身を守るためとはいえ、仇の令牌で同じ漢人を追い払ったことが、穆念慈には我慢ならなかったのだ。家を飛び出した楊康だったが、父の墓前で楊家槍法の鍛錬に励むうち、心も落ち着きを取り戻すのだった。やがて、完顔洪烈(わんやん・こうれつ)に令牌を返そうと決心し、趙王府へ向かう楊康。そこで彼が目にしたのは、密談する欧陽克(おうよう・こく)と霊智(れいち)上人の姿だった…。
#19
蒙古への帰順を迫る使者・トゥルイが金国にやってきた。強硬な姿勢を崩さない完顔洪煕(わんやん・こうき)と、使者を丁重にもてなすべきだと主張する完顔洪烈(わんやん・こうれつ)は対立。結局、皇帝は強硬策を採り、一切を完顔洪煕に託すのだった。衛兵を呼び、蒙古の使者を捕らえようとする完顔洪煕。死に物狂いの反撃に出たトゥルイは皇帝目がけて刀を放つ。皇帝の危機を救ったのは楊康(よう・こう)だった。彼は蒙古兵が城外に潜んでいることを報告、金軍は奇襲をかけることに成功する。コジンたちが救援に駆け付けたものの蒙古軍は壊滅し、オゴタイも深い傷を負う。コジンからの助けを求める手紙を受け取った郭靖(かく・せい)は…。
#20
太湖で出会った風流な男と意気投合した郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)。2人は陸(りく)と名乗った男に招かれるまま、帰雲荘に逗留することに。桃花島と帰雲荘の作りが似ていることに気づいた黄蓉は、陸荘主の正体は何者なのかと考えを巡らせるのだった。そんななか、金国の特使として派遣された楊康(よう・こう)の乗る船が、謎の集団に襲われた。彼らの放った火矢で、船はたちまち炎に包まれる。楊康は令牌を穆念慈(ぼく・ねんじ)に託すと丘処機(きゅう・しょき)に渡してほしいと告げ、彼女の身柄を欧陽克(おうよう・こく)に委ねた。投降した彼が連れて行かれたのは帰雲荘――楊康を襲ったのは陸荘主の手の者だったのだ…。
#21
黄蓉(こう・よう)は、一門に戻れるよう黄薬師(こう・やくし)に取り成すことを条件に、陸乗風(りく・じょうふう)と梅超風(ばい・ちょうふう)が互いに抱く恨みを水に流すよう説得する。2人はそれを受け入れるが、夫の仇である郭靖(かく・せい)を討つのだという梅超風の決心は揺るがなかった。当の郭靖も周りの諌める声に耳を貸さず、梅超風の挑戦を受けて立つことに。「15手で梅姉様が勝てなければ、それで許してあげて」と黄蓉。15手しか降龍十八掌を習っていない郭靖を守るための、とっさの策である。帰雲荘の中庭で繰り広げられる死闘――人々の目が梅超風と郭靖に注がれるなか、帰雲荘の屋根の上にはその様子を見つめる人影が…。
#22
酒楼で楊康(よう・こう)に近づいてきた男は段天徳(だん・てんとく)――郭靖(かく・せい)の父・郭嘯天(かく・しょうてん)を死に追いやった仇であった。彼は卑屈な態度で楊康に取り入ろうと媚を売ったかと思えば、楊鉄心(よう・てっしん)の息子である楊康が金国の王族として何不自由なく生きることができたのは自分のお蔭だと恩を着せる。そして、仁義だの忠誠だのにこだわらず、完顔洪烈(わんやん・こうれつ)の子として栄華の中で生きよと忠告するのだった。明くる日、郭靖(かく・せい)と楊康は、久しぶりの再会を果たす。「すごい手土産がある」という楊康に連れられ、街はずれの林へ向かった郭靖。そこで彼が見たものは…。
#23
郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)は完顔洪烈(わんやん・こうれつ)の寝込みを襲うが、寝台に彼の姿は無かった。襲撃を予想した楊康(よう・こう)が、欧陽克(おうよう・こく)にも知らせることなく完顔洪烈を脱出させていたのだ。半信半疑で楊康に従っていた完顔洪烈だったが、刺客が宿を襲ったとの報告を受けて考えを改める。こうして楊康は、信頼を回復するきっかけを掴むのだった。一方、楊康に出し抜かれた欧陽克と郭靖は、一歩も譲らぬ攻防を続けていた。だが突然、欧陽克の動きが止まる。2人の手合せを中断させたのは、洪七公(こう・しちこう)だった。あの手この手で黄蓉にせがまれ、ついに郭靖の弟子入りを認めた洪七公は…。
#24
白駝山に轟く西毒・欧陽鋒(おう・ようほう)の雄叫び――欧陽克(おうよう・こく)は、新しい蝦蟇功が完成したことを悟った。祝いの言葉を述べる欧陽克だったが、欧陽鋒は既にこの世を去った王重陽(おう・ちょうよう)を自らの手で倒すことができなかったと悔しがるのだった。一方、郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)は、意を決して桃花島へと渡る。黄蓉の父・黄薬師(こう・やくし)に2人の結婚を承諾してもらうためであるが、郭靖はかつての弟子・陳玄風(ちん・げんぷう)の命を奪った仇。殺されたとしても文句は言えないのだ。島に着くと黄蓉は、まずは自分が話してくるからと郭靖を船着き場に待たせ、父のもとへと向かうのだが…。
#25
周伯通(しゅう・はくつう)の話は続く。王重陽(おう・ちょうよう)の通夜の晩、ひとりで棺に付き添っていた周伯通の前に欧陽鋒(おうよう・ほう)が。周伯通は師兄の亡骸と「九陰真経」を守ろうと立ち向かうが、歯が立ちそうにない。すると、驚くべきことが。王重陽がしっかりと目を見開いて立ち上がり、渾身の一陽指を欧陽鋒の眉間に見舞ったのだ。死期が近いことを悟った王重陽は、自らの死後、欧陽鋒が「九陰真経」を奪いに来ることを予測し、弟子たちにも告げることなく死を装って撃退すべく待ち構えていたのである。全力を使い果たした王重陽は立ったまま事切れ、欧陽鋒は蝦蟇功を失い中原を去った。そして、肝心の「九陰真経」の行方は…。
#26
「お嬢さんと結婚させてください」。黄薬師(こう・やくし)は、郭靖(かく・せい)の申し出に反対はしなかったものの、その非礼を穏やかに諭し、まずは師匠を通じて申し込むべきだと告げた。黄薬師の言葉を額面通りに受け取り、島を離れようとする郭靖。だが黄薬師には、郭靖と黄蓉(こう・よう)を結婚させるつもりはなく、欧陽克(おうよう・こく)を婿にと考えていた。黄蓉から黄薬師の腹の内を聞かされた郭靖は、周伯通(しゅう・はくつう)に技を教えてほしいと頼み込む。偏屈な黄薬師が腕ずくで追い払おうとしても、すぐには負けない技を身に付けて話を聞いてもらおうというのだ。周伯通が授けた奥義は風変わりな武芸・両手合戦術と…。
#27
「結婚など実につまらん」とのたまう周伯通(しゅう・はくつう)に、黄蓉(こう・よう)は「奥さんがいるの?」と尋ねた。何も話そうとしない周伯通だったが、柄にもなくしんみりした様子で何やら歌を口ずさむ。そんな周伯通のことも気になるが、郭靖(かく・せい)と黄蓉にとっては、明日の婿選びの方が一大事。郭靖は四苦八苦しながら琴の練習に打ち込むが、まるで成果が上がらない。心配した黄蓉は、3つの課題が記された書き付けでもないかと父の書斎を物色するが、運悪く黄薬師(こう・やくし)に見とがめられて追い払われてしまうのだった。やがて、夜が明け、黄蓉の婿を選ぶ試合が幕を開ける。黄薬師が発表した第一の課題は…。
#28
「九陰真経」を探し出して燃やすこと、黄蓉(こう・よう)に良い夫を見つけてやること――黄薬師(こう・やくし)が亡き妻と交わした2つの約束は、後のひとつだけが果たされた。黄蓉の婿選びに決着がつき、穏やかに語り合う達人たち。その最中、郭靖(かく・せい)が周伯通(しゅう・はくつう)からも武芸を習ったと話したことで、雰囲気は一変する。周伯通を閉じ込めていた洞窟に黄薬師が駆けつけてみると、ひと足違いでそこはすでに、もぬけの殻。逃げる周伯通に追いついた黄薬師は、「九陰真経」を燃やせと迫った。懐から取り出した「九陰真経」を引きちぎった周伯通は、奥義の全ては郭靖に伝授した、下巻は郭靖からもらったのだと語り…。
#29
欧陽鋒(おうよう・ほう)と欧陽克(おうよう・こく)は、船に積み込んだ油と硫黄に火をつけて郭靖(かく・せい)と洪七公(こう・しちこう)を黒焦げにしてやろうと目論んでいた。偶然にも2人が密談する声を耳にした洪七公は、居眠りをしていた郭靖を起こし欧陽鋒の船を離れるのだった。欧陽克が気づいた時には、郭靖たちは既に海の上――首尾よく逃げられたと胸をなでおろしたのも束の間、小船を漕いで郭靖たちを懸命に追いかけてきた黄蓉(こう・よう)が欧陽鋒の船に。2人がかりで挑みかかられた黄蓉は、身動きを封じられてしまう。すぐさま船に引き返した郭靖は欧陽克を、洪七公は欧陽鋒を相手に闘い始める。その最中、船は炎に包まれ…。
#30
「師匠のためなら何でもします」。黄蓉(こう・よう)がこう答えると、洪七公(こう・しちこう)は胸に手を置き、虚空に向かって告げた――「わが命の終わりを悟った今、幇主の座を弟子に譲ります」。第19代 丐幇幇主となった黄蓉に、早速"打狗棒法"を伝授する洪七公。それは数百年の長きにわたり、歴代幇主に伝えられてきた奥義だった。黄蓉に稽古をつけた洪七公は、まるで最後の力を出し尽くしたかのように衰弱してしまう。柄にもなく気弱な言葉を口にする黄蓉を叱咤した洪七公は、丐幇の長老として2つのことを彼女に命じるのだった。ひとつは、洞庭湖畔で行われる丐幇の集まりで、打狗棒を受け継いだと宣言すること。もうひとつは…。
#31
黄蓉(こう・よう)の策略により、欧陽克(おうよう・こく)は大岩の下敷きに。助ける術のない欧陽鋒(おうよう・ほう)は、その傍らに寄り添うほかなかった。悲しみと苦悩の中で、欧陽鋒は自身が欧陽克の実の父であることを告白するのだった。一方、お人よしの郭靖(かく・せい)は、かつて何度も苦渋を飲まされた欧陽克の身を案じて、気を揉んでいた。そんな郭靖を見かねた黄蓉の指揮で、欧陽克の救出作戦が始まった。力を合わせて支度を整えた郭靖、黄蓉、欧陽鋒の3人だったが、やはりどうしても岩を動かすことができない。何か妙案を思いついたらしい黄蓉は、明日になれば助っ人が来ると、思わせぶりな言葉を口にするのだが...。
#32
初めて訪れた寒村の風景に、郭靖(かく・せい)は何か懐かしいものを感じた。そんな気持ちに背中を押されるようにして歩くうち、思いがけなく穆念慈(ぼく・ねんじ)と出会った彼は、この村が牛家村であることに気づく。夢にまで見た我が家に足を踏み入れ、父の得物である戟を見つけた郭靖は、両親への追慕の思いに浸るのだった。一方、無人島から欧陽鋒(おうよう・ほう)を連れ戻った楊康(よう・こう)は、早速彼を父に引き合わせた。金国の第六皇子たる趙王・完顔洪烈(わんやん・こうれつ)を前にしても、横柄な態度を取る欧陽鋒。そして、趙王が「武穆遺書」を手に入れるために協力してほしいと申し出ると、彼はニヤリとほくそ笑み…。
#33
郭靖(かく・せい)、黄蓉(こう・よう)、洪七公(こう・しちこう)、周伯通(しゅう・はくつう)の4人は皇宮に忍び込んだ。狙いは、皇帝だけが口にできる料理"鴛鴦五珍膾"。皇帝が作れと命じるまで待つ覚悟を決めた洪七公は、郭靖と黄蓉に皇宮の庭を散歩してこいと告げるのだった。庭園を見て回るうち、2人は衛兵に見つかってしまう。物陰に隠れてやり過ごす郭靖と黄蓉だったが、しばらくすると人のやってくる気配が。のぞき見ると、それは欧陽鋒(おうよう・ほう)や楊康(よう・こう)たちを従えた完顔洪烈(わんやん・こうれつ)だった。彼らは皇宮の中に隠された「武穆遺書」を手に入れようと、秘かに忍び込んだらしいのだが…。
#34
殺気をみなぎらせて完顔洪烈(わんやん・こうれつ)の背後に迫る楊康(よう・こう)。その様子を眺めていた欧陽克(おうよう・こく)は、何気ない風を装って完顔洪烈に声をかける。あと一歩というところで完顔洪烈は振り返り、楊康はとっさに暗殺を思い留まるのだった。そんな思惑を知る由もない完顔洪烈は、宋に残って「武穆遺書」を探せと楊康に命じる。完顔洪烈を殺して私憤を晴らすより、金国の危機を救う英雄に――野心を抱いた楊康は、この命令に従うことに。ところが欧陽克は、欧陽鋒(おうよう・ほう)や楊康が「武穆遺書」を見つけたとしても、おとなしく献上するとは限らないと語る。すると完顔洪烈は、賭けをしようと提案し…。
#35
「天?北斗陣を敷け」――丘処機(きゅう・しょき)の言葉に押し切られるようにして、馬ト(ば・ぎょく)は梅超風(ばい・ちょうふう)と一戦交えることに。曲(きょく)家の隠し部屋から熾烈な攻防を繰り広げる彼らの様子を伺っていた郭靖(かく・せい)は、九陰真経と全真七子の技が密接につながっていることを悟るのだった。やがて、梅超風が不覚を取ったかと思われたその時、黄薬師(こう・やくし)が現れた。憎悪をぶつけ合うように絶技を繰り出す達人たち。身動きできない郭靖と黄蓉(こう・よう)は、なんとかして誤解を解く術はないかと焦るばかりだ。そこへ、この機に乗じて黄薬師を亡き者にしようと考えた欧陽鋒(おうよう・ほう)が…。
#36
白ワシに導かれて郭靖(かく・せい)たちが辿り着いた林の中には、傷ついたコジンの姿があった。目の前の蒙古の娘が郭靖の許嫁だと知り、顔色を変える黄薬師(こう・やくし)。一番大切なのは黄蓉(こう・よう)、妹のようなコジンを結婚相手としては考えられないと語る郭靖だったが、約束してしまったことを覆すわけにはいかないと考えを変える。そして彼は、「コジンを妻にします」と宣言するのだった。そんな郭靖の決断を尊重し、黄蓉も身を引く覚悟を決める。彼女の最後の願いが聞き入れられ、2人は丐幇の集会が済むまでは行動を共にすることに。一方、岳陽では、打狗棒を持つ楊康(よう・こう)が丐幇の彭(ほう)長老のもてなしを受けていた…。
#37
雨に降られて一夜の宿を借りた郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)。そこで郭靖はあることに気づく。曲霊風(きょく・れいふう)が秘蔵していた絵が雨に濡れ、何やら文字が浮かび上がってきたのだ。うっすらと読み取れるのは"穆"や"遺書"、それに"鉄掌"という文字。それを見た黄蓉は、裘千仞(きゅう・せんじん)率いる鉄掌党と武穆遺書との間に何らかの関係があるのではないかと推測するのだった。やがて、郭靖と黄蓉は岳陽へ。ひとまず腹ごしらえをと入った店で、2人は丐幇の四長老のひとり・魯有脚(ろ・ゆうきゃく)に声をかけられた。意気投合し、談笑する3人――しかし、彼らの知らないところで楊康(よう・こう)の企みが…。
#38
趙王・完顔洪烈(わんやん・こうれつ)の使者として現れた裘千仞(きゅう・せんじん)は、丐幇に北の地を離れて南方に移るよう促した。新幇主を名乗る楊康(よう・こう)と彭(ほう)・簡(かん)・梁(りょう)の三長老がこの提案を受け入れるなか、魯有脚(ろ・ゆうきゃく)だけが歴代幇主の遺訓を守るべきだと反対。魯長老に挑みかかる裘千仞の手下たち――そこへ助けに入ったのは郭靖(かく・せい)である。しかし、丐幇がすぐさま鉄掌党に加勢、洪七公(こう・しちこう)の弟子たちを傷つける訳にもいかず、郭靖は手も足も出せなくなってしまう。断崖へと追い詰められる郭靖と黄蓉(こう・よう)。ひとり犠牲になる覚悟を決めた郭靖は…。
#39
裘千仞(きゅう・せんじん)は、双子の兄・裘千丈(きゅう・せんじょう)を使って「武穆遺書」を入手しようと企んでいた。しかし、当の裘千丈は尻込みする。「武穆遺書」が隠されている鉄掌山中指峰は歴代の鉄掌党首の眠る地。足を踏み入れた者は生きては帰れないという掟があったのだ。裘千仞と楊康(よう・こう)は、裘千丈の身に危険が及ばないよう援護すると約束、「武穆遺書」を手に入れられれば富も名声も思いのままだと、脅える裘千丈を説き伏せるのだった。その頃、郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)は中指峰の洞穴に。そこには、代々の鉄掌党首たちの亡骸と財宝の山、そして岳飛(がく・ひ)が遺した「武穆遺書」が…。
#40
完顔洪烈(わんやん・こうれつ)の手下となっていた侠客たちは、金の滅亡が近いことを悟ると、おべっかを使う必要もなくなったとばかりに楊康(よう・こう)を軽んじ始めた。これまで腕比べの度に手加減してもらっていた楊康には、彼らを懲らしめることもできない。裘千仞(きゅう・せんじん)から武芸を学ぼうとするも、その不遜な態度から怒りを買い、「次は命がないぞ」と警告される始末。そこに欧陽鋒(おうよう・ほう)が。楊康は、臣下の礼を以て接する欧陽鋒を裘千仞と戦わせ、目に物を見せてやろうと目論むのだった。一方、桃源を目指す郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)は、瑛姑(えいこ)の教えに従い、ひとつめの袋を開け…。
#41
一灯(いっとう)大師は過去の因縁について語り始めた。華山論剣の翌年、周伯通(しゅう・はくつう)をお供に連れた王重陽(おう・ちょうよう)が大理国へ。一灯大師――段智興(だん・ちこう)皇帝と王重陽は互いの武芸を磨き合い、2人の滞在は半月に及んだ。一方、すっかり退屈していた周伯通は、宮中をうろつくうちに武芸を好む劉(りゅう)貴妃と出会う。武芸をきっかけに意気投合し、やがて情を通わせるようになった2人は、許されざる過ちを犯してしまう。王重陽は段智興に謝罪、劉貴妃を周伯通に嫁がせることで解決を図ろうとするが、周伯通はこれを拒んで逃げるように大理国を去った。この劉貴妃こそが、瑛姑(えいこ)だったのだ…。
#42
「九陰真経」をなくしてしまったと語る欧陽克(おうよう・こく)。落胆した欧陽鋒(おうよう・ほう)は、からかうような口ぶりの欧陽克に殺意を募らせる。だが、全てが嘘だったと知ると手のひらを返したような態度に。今や彼の心を占めているのは、この奥義書ひとつだった。一方、「武穆遺書」を手に入れた完顔洪烈(わんやん・こうれつ)の眼中にも、楊康(よう・こう)の姿はない。楊康は、如何に尽くそうとも信用されることないのだと悟り、心を痛めるのだった。しばらくの後、穆念慈(ぼく・ねんじ)のもとに欧陽克が。立て続けに酒をあおった彼は穆念慈への愛を告白する。2人のやり取りを密かに聞いていた楊康の頭の中に、ある恐ろしい考えが…。
#43
欧陽克(おうよう・こく)は死んだ。晴れて欧陽鋒(おうよう・ほう)に弟子入りした楊康(よう・こう)は、白駝山の武芸を継承し得る唯一の人物となったのだ。一方、天下一の武芸者の座を狙う欧陽鋒は、最大の敵を東邪・黄薬師(こう・やくし)だと考えていた。それを聞いた楊康は、全真七子と黄薬師との確執を利用し、東邪ばかりか郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)の2人をも始末する策があると持ちかけるのだった。同じ頃、嘉興の酔仙楼には丘処機(きゅう・しょき)と江南六怪が。丘処機に耳には、黄薬師への恨みを忘れるよう忠告する江南六怪の声も届かない。江南六怪は全真教と黄薬師の争いを防ぐため桃花島へと向かうのだが…。
#44
桃花島に横たわる5人の侠客たち。かつて江湖にその名を轟かせた江南七怪も、いまや柯鎮悪(か・ちんあく)を残すのみとなった。師匠たちの亡骸を見つめるうちに、郭靖(かく・せい)は韓小瑩(かん・しょうえい)が"九陰白骨爪"で殺されていることに気付く。梅超風(ばい・ちょうふう)亡き後、桃花島でこの技を使えるのは黄薬師(こう・やくし)ただひとり。では、いまわの際に南希仁(なん・きじん)が書き遺そうとした文字は、黄薬師を示す"東邪"だったのか――。5人を殺したのは黄薬師ではないかという考えが、郭靖の頭の中で次第に確かさを増していく。一方、黄蓉(こう・よう)は母の墓室の中で副葬品ではない"ある物"を見つけ…。
#45
欧陽鋒(おうよう・ほう)と楊康(よう・こう)、曲霊風(きょく・れいふう)の娘が鉄槍廟に現れた。その気配を察し、身を潜める黄蓉(こう・よう)と柯鎮悪(か・ちんあく)。様子をうかがっていると、「牛家村に帰りたい」と言い募る曲の娘を、欧陽鋒が手にかけてしまいそうだ。たまらずに飛び出した黄蓉は、曲の娘をなだめるような調子で、江南六怪が襲われた日の桃花島の様子を聞き出そうとする。たどたどしい彼女の言葉を繋ぎ合わせながら、やがて黄蓉は確信を得る。5人を殺した真の下手人は欧陽鋒と楊康だ。そして、朱聡(しゅ・そう)と南希仁(なん・きじん)が書き残そうとしたのは、楊康の"楊"という文字だったのだ...。
#46
黄蓉(こう・よう)を捜し回る郭靖(かく・せい)だったが、その行方は杳として知れない。噂を頼りに帰雲荘を訪ねてみるが、建物は無残にも焼け落ち人の気配もなかった。そんななか郭靖は蒙古兵に遭遇。彼らと合流し、トゥルイとの再会を果たす。大ハーンからの命令で帰還するトゥルイに同行した郭靖は、久しぶりに蒙古の大草原へと戻ったのだった。将軍たちの報告によれば蒙古軍は金軍を圧倒しているが、唯一、完顔洪烈(わんやん・こうれつ)の部隊には手を焼いているという。軍師・楊康(よう・こう)の戦術に苦しめられているらしいのだ。それを聞いた大ハーンは、楊康を生け捕りにしたら、その処遇は郭靖に委ねると言い放ち…。
#47
魯有脚(ろ・ゆうきゃく)に授けられた策で、郭靖(かく・せい)の部隊は勝利を収めた。しかし、郭靖とトゥルイは、魯有脚の背後に"影の軍師"がいるのではないかという疑いを強める。その一方で、戦況は相変わらず蒙古の劣勢が続いていた。サマルカンド城のすぐ西側には険しい岩山が、まるで城壁のようにそびえている。兵力に勝り、兵糧や武器の蓄えも豊富な金軍、は籠城して蒙古軍を退けようという構えだ。冬が近づくなか蒙古軍の兵糧は底をつく寸前で、兵を退こうにも背後から追撃されるのは必至。何か策はないかと、郭靖は武穆遺書と首っ引きで頭を悩ませるのだった。そんなある夜、郭靖の幕営に欧陽鋒(おうよう・ほう)が現れ…。
#48
「金にも我々にも、もはや未来はない」。そう言うと楊康(よう・こう)は、完顔洪烈(わんやん・こうれつ)に深々と刀を突き立てた。驚愕の表情を浮かべる完顔洪烈。幾つもの愛憎の渦を乗り越えて親子の情を繋いだと信じていた楊康が、「両親の仇を討つ」と自らに刃を向けたのだ。自らの最期を悟った完顔洪烈は、郭靖(かく・せい)と楊康の手にはかからぬと、自刃して果てたのだった。一緒に帰ろうと促す郭靖に、楊康は勝負を挑む。楊康は槍を、郭靖は檄を得物に手合せが始まった。数十手の後、動きを封じられたのは楊康だった。だが、優位になってもとどめを刺そうとしない郭靖を挑発するかのように、楊康はある秘密を告げ…。
#49
「どんな処罰を受けても仕方ありません」――大ハーンの前に引き立てられた郭靖(かく・せい)は、そう答えた。金国を滅ぼした後で読むようにとの命令に背き、機密書類を盗み見たことに弁解の余地はない。だが、そこには"臨安を攻めよ"との文字があった。大ハーンから受けた恩には感謝しているが、祖国を裏切ることはできない。斬首を覚悟した郭靖だったが、トゥルイの嘆願により処刑は取りやめに。宋の朝廷の腐敗ぶりを語り、郭靖を説得しようとする大ハーン。それでも気持ちを変えようとしない郭靖に業を煮やした大ハーンは、彼の母・李萍(り・へい)を招き入れる。その手には、丘処機(きゅう・しょき)から贈られた匕首が…。
#50
裘千仞(きゅう・せんじん)こそ、瑛姑(えいこ)の子を殺した下手人だった。悪びれる素振りも見せない裘千仞に挑みかかった洪七公(こう・しちこう)は、その悪行を咎め、悔い改めるよう諭す。前非を悔いた裘千仞は、一灯(いっとう)大師からの勧めもあり、仏道に生きることを決心するのだった。郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)が洪七公との再会を喜んだのも束の間、彼らの前に欧陽鋒(おうよう・ほう)が。かつての因縁から、死闘を繰り広げる洪七公と欧陽鋒。2人の腕前は互角と言えたが、怪我のせいで修練が足りない洪七公はいささか分が悪い。師匠に万一のことがあってはいけないと、一計を案じた黄蓉は…。

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